仏事の心得18か条⑤
死に顔は見ない
遺体のある部屋でお悔やみを述べていると、遺族から「一目会ってやってください」と言われることがある。
もし気がすすまない時は、「また悲しくなりますから」とか「寂しさが増しますので」と言って辞退したほうが無難である。
会いたくもないのにお義理で対面するより、このほうがよほど礼にかなっている。
これが田舎になると、来る人来る人に遺族が声をかけ、弔問客のほうも「拝ませてください」と挨拶する。
双方ともそうすることが儀礼化しており、神経のすり減る作法になっている。
普段でも、他人からジロジロ見られるのは嫌なものである。
まして“死に顔”をやたらと人に見られたりするのは、故人の本意ではあるまい。
よほどの間柄でないかぎり、自分のほうから「故人との対面」は言い出さないことである。
忌と喪と斂より