仏事の心得18か条⑥
あいている場所に座る
お通夜とか告別式では、祭壇の近くに親族や近親者が座り、一般の会葬者は隅のほうに控えている。
これが六畳とか八畳の部屋になると、柱の陰や廊下の隅まで人であふれ、中には壁にもたれて立っている人もいる。
それでいて部屋の真ん中はすいていて、そこがなかなかふさがらない。
あとからやって来た人がまた「謙譲の美徳」とかで前のほうに出たがらないから、部屋の周囲だけがますます混んでくる。
このような状態で読経が始まる。
それでもまだ席のことでゴタゴタしている時があって、世話人や遺族から小声で案内されたりしている。
弔問客として、まったく落第である。
こういう些細なことが、せっかく厳粛に儀式を執り行っている僧侶の威儀をそこない、遺族の葬送の心をかき乱すのである。
遠慮はかえって不作法、あいている場所に早く座るほうが作法にかなっている。
忌と喪と斂より