仏事の心得18か条⑧

喪主に話しかけない

喪主は葬儀の発起人であり、主催者である。
弔問客が喪主に挨拶したい気持ちはわかるが、大きな告別式などでわざわざ遺族席へ出向いて挨拶するのは、かえって不作法になる。

たとえば用事で会社にやって来た人たちが、帰りがけに1人ずつ社長に面会を求めるようなもので、そんなことをされたら、挨拶を受ける社長がまいってしまう。
喪主も同じで、神経がすり減って疲れる。
焼香が終わったら会釈するくらいでも、弔意は充分に通じるものである。

また、遠方から来た人、故人と特別の関係にあった人、社会的地位の高い人などで、ぜひ遺族に面会して帰りたいときは、葬儀の受付係か世話人に申し出て、その指示を仰ぐようにすべきである。

喪主は会葬者全員から弔問を受ける立場にあるから、呼び出すことなどもってのほかで、たとえ何様であろうとも勝手な振る舞いは許されない。

                                    忌と喪と斂より