盂蘭盆会 うらぼんえ

盂蘭盆

「盂蘭盆会」(お盆)は「盂蘭盆経」という教典に説かれた物語に基づいて営まれる仏事です。
現在の日本での迎え火・精霊棚などは民俗信仰ですから、しない宗派もありますが、色々な民俗的色彩を含んで今日まで続いています。
盂蘭盆とは、インドの梵語(ぼんご)で「逆さまに吊るされたような苦しみ」という意味です。
つまり、地獄の苦しみです。その地獄にいる人をこの世から供養して、その功徳で救ってあげたいという願いを込めて営まれるのが盂蘭盆会です。

目連

お釈迦様のお弟子に「目連 もくれん」という方がいました。
心の優しい人で、亡くなった母にいつも感謝していました。
ある日、神通力で母を探しました。
極楽・天上界と探しましたが母はいません。
仕方なく、地獄を探しますと、約136の地獄の何番目かに母を見つけました。
母はあさましい「餓鬼 がき」になっていました。
仏教では「因果 いんが」という原理があります。
地獄に堕ちるには何かの原因がある…というものです。
目連は神通力で、母が地獄に堕ちなければならなかった原因、理由を知ろうとしました。
母は生前優しい人でした。
が、人に施したり恵んだりはしない人でした。
息子を育てる母性愛で一杯だったのだと、目連は思いました。
目連は食べ物を持ち、母のもとに駆けつけましたが、餓鬼になった母は、息子に会えた喜びよりも食べ物に飛びつきました。
しかし、食べようとすると、火になり燃え上がって炭になります。
何度試みても駄目でした。
目連は、泣きました。
教典にも「大叫悲泣」した、とあります。
目連は、お釈迦様にありのままを告げました。
お釈迦様は目連に言いました。
「おまえの母の罪業は深すぎて、お前一人の力ではどうすることもできない。お前自身が自分の為に法を説き、解脱(げだつ)を得なさい。」

7月15日

目連は三ヶ月間の修行の夏安吾(げあんご)の最終日の7月15日に、すべての仏弟子たちに供養のご馳走を「盆」に入れてささげました。
大勢の仏弟子は大喜びしました。
その喜びの声の中、目連の目に、地獄から天上界にのぼっていく母の姿が見えました。
このことに喜んだ仏弟子たちは歓喜の踊りを踊りました。
これが、「盆踊り」のおこりといわれています。

こうして、7月15日が、仏教徒の間で父母への感謝の誠をささげて、父母をも救えるだけの解脱を得る…ことを確かめる日になりました。
それは日本の民間に広まって、霊魂観と結びつき独特のと行事して行われています。